シャチ柄

音楽制作、物書き、Jリーグ観戦など私の趣味が炸裂する非営利ブログです。

久米一正という男

名古屋にとって久米一正という男は、 優勝も降格も味合わせてくれた味わい深い男だったのではないか。

そう思うときがあります。

特に、シーズンオフには・・・。

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ジェネラルマネージャー

日本のプロサッカークラブのGM職としての草分け的存在。

勝利するためには武官(現場の監督や選手達)を強化するだけでなく 文官(管理運営する者)も強化していかないといけない。 と、気づかされた人でもありますね。

Jリーグ創世記。

「選手の強化」だけに主眼を置いていたクラブは、 移籍や補強による戦力確保という所でも気を遣わなくてはならなくなりました。

時には青田刈り、時にはマネーゲームをし、 サッカーという競技外でもクラブとしての強さを見せつける。 そのために必要になったのがプロGM。

プロのGMという職業はその時、日本に浸透していなかった。 久米さんはクラブにおけるGMというシステムの0から1を作ったのでしょうね。

人を動かす

久米さんの著作物です。

内容的にはほぼ自伝で、本全体の8割くらいは人を動かしていないのですが、 クラブGMとしての行動、思想みたいなものは見てとれました。

選手には正月をスッキリした気持ちで迎えさせるべく契約は年内に結ぶ。

選手の家族の活躍場所を与える。

引退後の活躍場所を用意する。

セカンドキャリアでつまづかないように教育を与える。

セカンドキャリアに響かないようにチャラい姿にさせない。

などなど、選手に長きにわたってクラブに関わってもらい、 上の世代から下の世代へと伝承していくようにする。

これがクラブ独自の特色であり伝統となる。

推測するに久米さんがやりたかったことは、 コレなんじゃないかなって思うのです。

名古屋というクラブには、イマイチ伝統というものが見えなかったからでしょうね。 まぁ、それをT社が許さなかったのでしょうが。(これは私の憶測です)

企業経営などにも転用できる

人を動かす。は選手のみならず、選手の家族をも取り込む。

これは一般的な企業の従業員に対するスタンスに似ています。

今の時代、従業員の家族まで面倒を見るという企業は少ないのかもしれませんが、 長きにわたって貢献してもらう為の下地作りとして、 久米さんの手法は非常に暖かな手法なのかもしれません。

思い返せばリーグ優勝の礎を築いたわけですから、 クラブを本当の意味で強くするには何が足りず、 何が至らないのか。

武官で無く文官が脆いクラブって、 どこだって強くは無いんだよなぁってシーズンオフにはしみじみ思ってしまうのです。

written by 日照ノ秋人 改革の途中だと思いたい